腎機能低下患者におけるガドリニウム系造影剤とNSFの関与の可能性について
昨年度末に(平成18年12月22日)FDAより腎不全患者におけるガドリニウム系造影剤使用が、NSF/NFD(nephrogenic systemic fibrosis/nephrogenic fibro-dermatosis)発症に関与する可能性が指摘されています。
http://www.medscape.com/viewarticle/550783?rss
FDAではMRI造影検査に使用されるガドジアミド(オムニスキャン、GEHealthcare)、ガドペント酸ジメグルミン(マグネビスト、Berlex),gadoversetamide(OPTIMARK,Mallinckrodt)使用後2日から18ヶ月以内に重篤で致命的となりかねない中等症以上の90症例が報告されている、としています。
NSFの発症様式としては、末期腎不全患者(透析患者を含む)にガドリニウム系造影剤投与後より
1. 四肢を中心とした"オレンジの皮様"の皮膚硬化
2. 体幹部への進行
3. 四肢関節の運動制限
4. ADL低下、内臓器への影響、多臓器不全となりうる
と急速な進行をきたすとされています。
現時点でNSF/NFD発症後の有効な治療がないことから、腎不全患者においてガドリニウム系造影剤使用後はその除去を目的に血液透析を推奨する、との文献も発表されている。
http://radiology.rsnajnls.org/cgi/content/full/2423061640v1
これら対応に関してASN( American Society of Nephrology ), AAN (American Academy of Neurology), RSNA( Radiology Society of North American )などでもまだ対応をきめかねているようですがASNにおいては前記FDA報告を会員に届けています。
現在まで全世界で200症例あまりしか報告がなく、また本邦においては8例(ガドリニウムとの関連は不明)でありまた腎障害がどの程度からNSFのリスクを考慮し血液透析まで行っていくのか等、多くの問題を含んでいるものの少なくとも腎障害を有する患者において同造影剤の使用に慎重になる必要があると考えます。
NSFについて:http://www.pathmax.com/dermweb/ (yale Univ.dermatology)
NSF/NFD患者情報について
前記のように腎不全患者におけるガドリニウム系造影剤とNSF/NFDとの関与がしさされています。
一方本邦における発症例についてはほとんどよくわかっていません。
そこで下記のような患者発生時当学会まで連絡をおねがいします。
1.腎不全患者において
2.ガドリニウム系造影剤使用した
これらをみたし
1.急性発症
2.四肢優位の"オレンジの皮様""woody"と表現される皮膚硬化。茶褐色の色素沈着、結節をきたすこともある。
3.左右対称性で、顔面、手掌、足底は侵されない
4.かゆみ、熱感、疼痛、感覚障害をともなう
5.病理
線維性変化が主体、真皮深層にαSMA陽性の筋繊維芽細胞や平滑筋細胞が出現することがある。繊維芽細胞の賦活化、膠原繊維の増生とムチンの沈着、弾性繊維の併走などがみられる。
(注)強皮症、硬化性粘液水腫、好酸急性筋膜炎、好酸急性筋痛症、アミロイドーシス、calciphylaxisなどを臨床的に除外する必要がある。
これらを満たす、もしくは疑われる症例がみられましたらその臨床経過、病理所見についてご報告お願いします。
参考:
http://www.pathmax.com/dermweb/#timeline
1. GE Healthcare comments about their gadolinium containing product (June 6, 2006)
2. FDA reports on NSF and Gadolinium (June 8, 2006)
3. FDA reports on NSF and Gadolinium (December 21, 2006)
4. GE Healthcare comments about their gadolinium containing product (December 22, 2006)
5. Berlex Imaging comments about their gadolinium containing product (December 14, 2006)
6. MSNBC: FDA Warns Kidney Patients about new disease (December 22, 2006)
7. American Society of Healthcare Pharmacists article on NSF (December 26, 2006)
8. Medscape: Dialysis Recommended to Prevent NSF After Gadolinium-Based Imaging in Severe Renal Failure (January 15, 2007)
9. Docguide.com (January 25, 2007)
10. Medscape: Study Determines Risk for Nephrogenic Systemic Fibrosis in ESRD Patients Receiving Gadolinium (February 7, 2007)
参考文献:
透析フロンティア Vol15NO1(No64)2005:透析患者の皮膚病変における新しい病体と治療
本邦では計8例のNSFが報告されています。(医中誌の検索にて)
しかしその抄録上ではガドリニウムとの関連については記載がありません。
おそらく主治医がそれにきづいていなかったためと思われます。
(international center for NFD research[ICNFDR]では調査100例中90%以上でガドリニウムの使用が確認されたとしています]
執筆・情報提供:沖縄県立中部病院内科 宮里均
日本腎臓学会 総務委員会
日本医学放射線学会からの安全情報 2007.3