小冊子

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検尿の考え方・進め方 - 緒言



緒言

 近年、生活習慣病への対策が重要視されているにもかかわらず、その患者数が年を追って増加しているのは、周知の事実である。透析患者数をとってみても、年に3万人を超える患者が新たに発生しており、社会的にも見過ごせない問題である。
 また、最近では、肥満高血圧、耐糖能異常を呈する metabolic syndrome と呼ばれる病態から動脈硬化を惹起して腎不全になる例も増加している。
 そこで、生活習慣病や metabolic syndrome の早期発見、早期治療のためにも、健康診断のもつ役割は大きいと言えよう。その中でも、検尿は最もシンプルでありながら、多岐にわたる疾患の早期発見の糸口になりうる検査である。
 日本腎臓学会では、医療従事者が一丸となって腎疾患患者の早期発見、早期治療に取り組むため、「検尿の勧め」啓発委員会を組織した。本冊子はその活動の一環として作成されたものである。コ・メディカルから一般医、さらには専門医まで広く活用していただけるよう編纂した。日常診療の一助となれば幸いである。

2003年10月
(社)日本腎臓学会 「検尿の勧め」啓発委員会 委員長
飯野 靖彦