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APSN海外CME参加報告について

国際委員会からのお知らせ:APSN・香港腎臓学会CME参加報告

国際委員会からのお知らせ:APSN・香港腎臓学会CME参加報告
岩手県立中央病院 腎センター 腎臓・リウマチ科 吉川和寛


 この度、日本腎臓学会会員としてAPSNとHKSN(Hong Kong Society of Nephrology)とで主催された「APSN/HKSN CME Course(2018年9月29日 於:The Hong Kong Academy of Medicine Jockey Club building, Hong Kong、以下Day 1)」と、「HKSN Annual Scientific Meeting 2018(2018年9月30日 於:Kerry Hotel Hong Kong、以下Day 2)」に参加させていただく機会に恵まれた。

 Day 1には、私を含むアジア各国から複数の若手腎臓内科医が参加しており、加えてHKSN会員の一部も参加していたと思われる。Prof. Sydney TANGとProf. Philip LIのOpening Addressの後、世界からの教授陣(USA, the Netherland, Italy, Japan, China, Spain, Hong Kong)計8名が30分ずつ交代で座学講義する形式で、14:00から18:00まで開催された(http://www.hksn.org/cme20180929.pdf)。世界の最新且つ重要な知見および論文を多数知ることができたのは言うまでもないが、世界の著明な教授陣の講演をライブで拝聴できている現実に感動せずには居られなかった。勿論使用言語は全て英語であるが、英語を母国語にしていない参加者からの質問内容は時に非常に聞き取りづらいことがあり、もしも自分が講演者であったならどのようにその場を乗り切るだろう、などと邪念が湧いたりもした。ところで本CMEの目的の一つは「発展途上国と先進国の交流を深めること」とされているが、途中にCoffee breakが1回有ったのみで、18:00で会が終了した後はすぐに各自解散となってしまった。残念ながら晩餐会といった交流を持つ機会は設けられず、自分以外の誰がアジア各国からの若手腎臓内科医なのか認識する機会には恵まれなかった。会の中で自己紹介の場でもあれば、メール交換など今後の末永い(?)交流に役立つ可能性があると考えられた。

 Day 2はHong Kong Society of Nephrology(香港腎科學曾)の年次学術集会に我々外部者がお邪魔する、というスタイルであった。発表会場はメイン会場1つのみで、8:45から17:00まで開催された。内容は世界からの教授陣の講演に加え、同曾のgrantを受賞された医師の講演、およびYoung fellow1名の研究発表であった(http://www.hksn.org/cme20180929.pdf)。ポスターセッションはなく、ロビーには企業ブースと軽食(飲茶、点心、エッグタルト、サンドウィッチなど)が用意されていた。発表会場が非常に寒かったため、スーツの上にフード付きパーカーを羽織っての拝聴であった。香港人は英語にも非常に堪能であるものの、本来の日常言語は広東語である。しかし、年次学術集会は全て英語で行われていたため、本来domesticな会であるはずが、世界の著名人が集って自然に講演が繰り広げられ、「ほぼ国際学会」であった。尤も、会場が1つしかないため、使用言語が英語に統一されざるを得ないとも思われ、結果的に広東語が全く分からない私でも安心して参加して居られた。しかし、日本腎臓学会の年次学術集会もこれに倣ってもし万が一全て英語セッションに統一されてしまったとしたら、それはそれで(特に発表者にとっては安心のできない)ハードな学会発表になってしまうに違いないと想像された。香港腎科學曾のProf. Sydney TANGとProf. Philip LIが個人的な写真撮影に快く応じてくださった。日本からの参加者は東京大学南学正臣教授と私だけと思われた(南学先生、有難うございました!)。昼食はランチョンセミナーではなく、別会場に設けられた円卓に自由に座り、本当のランチ(鶏肉料理)を頂いた。たまたま相席になった方が某メーカーの香港支社の社員さんで、日本支社への出向経験もあり日本語が堪能であったため、ガイドブックには決して書かれていない諸々をお聞かせ頂くことができ、非常に有意義な時間であった(Thank you, lah !)。

 私にとって初めての香港渡航であったが、羽田からはわずか3〜4時間のフライトで済んでしまった。尖沙咀(Tsim Sha Tsui)は非常に混沌としていたが、学会会場のホテルは郊外(黄埔, Whampoa)にあり、格別のsea viewと穏やかさに包まれた最高の空間であった。2週間前の台風(Mangkhut)の爪痕がまだあちこちに残っており、学会会場近くのビルディングのガラス窓が多数割れたまま、木製の板で埋められている光景が非常に痛々しかった。香港の日常を肌で感じようと、その辺のお店に入って食料を調達するように努めていたが、日本の製品やお店が極めて多いことが分かった。しかも、帰りの飛行機が丁度日本の台風に巻き込まれる可能性があったため、ホテルではNHKニュースを視聴したりしていた。

 この度日本腎臓学会から推薦して頂き、この上ない勉強の機会を与えて頂きました。世界が広いことを改めて心から感じることができました。Nephrologyの道を歩んで来てよかったと思いました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。本当に有難うございました。


Asian Pacific Society of Nephrology (APSN)
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