ニュース&トピックス

APSN海外CME参加報告について

2019年のアジア太平洋腎臓学会(APSN)・韓国腎臓学会(KSN)共催CME報告

2019年のアジア太平洋腎臓学会(APSN)・韓国腎臓学会(KSN)共催CME報告
つくばセントラル病院腎臓内科 塚原知樹


 5月24日、KSNのなかでAPSNとの共催セッションとして設けられた生涯教育(CME)に参加いたしましたので報告いたします。

 CMEは30分のレクチャーが8つで、前半(14時-16時)は①腎障害における酸化ストレスと低酸素、②腹膜透析患者の糖尿病管理、③CKD-MBDの最新コンセプト、④がん診療でみられる腎障害のマネジメントでした。後半(16時-18時)は、⑤膜性腎症アップデート、⑥CKD患者のprotein-energy wasting(PEW)、⑦血液透析中の低血圧予防と治療、⑧ADPKDに対する新規治療でした。日本でも学べるトピックではありますが、こうしてわざわざ海外に行って学ぶことにも、独自の意義やありがたみがあると感じました。

 一つ目には、好き嫌いなく集中して学べます。私はいままで、学会では興味のある分野を中心に参加しがちでした。しかし実際は、幅広く苦手分野も含めて知識をアップデートしてゆかなければなりません。そのために、たとえば米国腎臓学会にはBoard Review Course and Updateがありますが、受講料だけでも1395ドルかかります(会員、事前登録)。それを、APSNは旅費を援助してまでアジア太平洋地域の若手腎臓内科医師を育てようとされています。崇高な使命に感じ入りました。

 二つ目には、おなじ疾患や検査、治療でも国や地域を越えて共通なこと、違うことがあるのを確認できます。たとえば④では、韓国がんセンターから発表された先生が「私達はレコメンデーションをだすが、最終決定は腫瘍内科だ」と発言されるのに共感しました。また③は台湾の先生でしたが、講義は「活性型ビタミンDよりも、まず25(OH)ビタミンDを補充しましょう」という主旨でした。このような気づきが、ふだんの職場で診療する際に役立つこともあるかと思いました。

 そして三つ目には、国と地域を越えて交流することができます。今回講義されたのは韓国、台湾、シンガポール、日本の先生でしたが、CME参加者には他からの方もおり、 たとえばマレーシアでインターベンショナル・ネフロロジーを志す先生など、それぞれの場所で頑張る同世代に刺激を受けました。じつは日本腎臓学会もAPSN共催CMEを開催していますが、 今年は日本腎臓学会の前日のようです。学会自体にもMeet the Professorなど海外からの参加者と接する機会はありますが、 学会内に組み込まれると日本・海外の参加者と主催者に有益な点もあるかと思いました。

 以上、手短ながらご報告さしあげました。最後に、この機会をくださったAPSN関係者の皆さま、厳正な審査のうえ私をお選びくださった日本腎臓学会の皆さま、滞在中カバーしてくださった職場の皆さま、そして行かせてくれた家族に感謝します。ありがとうございました。


Asian Pacific Society of Nephrology (APSN)
海外CME参加レポート トップに戻る